オンラインカジノで入出金の際に使われる決済代行会社の一つである「すもうペイ」が2023年9月に摘発されています。
同社は2022年7月よりサービスが休止しており現在は閉鎖されているようです。
決済代行会社とは、ユーザーが海外のオンラインカジノと現金をやり取りする際に、銀行の海外送金を使うと高い費用がかかるうえに日数が多くかかり、非常に不便なために使用されているものです。
つまり、ユーザーが現金を入金するときには決済代行会社の日本国内の銀行口座へ振り込むことで、オンラインカジノでは入金があったとみなしてアカウントにキャッシュが反映されます。
出金の時には、決済代行会社の日本国内の銀行口座からユーザーの銀行口座に現金が振り込まれます。
国際送金を使用しなくていいため、ユーザーにとってもオンラインカジノにとっても非常に便利なものなのです。
この決済代行会社の一つである「すもうペイ」が、2023年9月27日に摘発され業者2名が逮捕されています。
容疑は常習賭博幇助(ほうじょ)とのこと。
常習賭博幇助というのはそのような条文があるのではなく、刑法第62条第1項の次の規定がそれです。
(幇助)
第六十二条 正犯を幇助(ほうじょ)した者は、従犯とする。
2 従犯を教唆した者には、従犯の刑を科する。
※この場合の正犯とは刑法第185条第1項または第186条1項を指します。
(常習賭博及び賭博場開張等図利)
第百八十六条 常習として賭博をした者は、三年以下の懲役に処する。
客の賭博行為を容易にさせたとして、決済代行業者に同罪を適用するのは初めてといいます。
★ 常習賭博幇助に当たるのかは疑問
ところがです
つまりオンラインカジノ利用に賭博罪が適用された裁判例がない以上は、それを幇助するという罪が存在しないわけで、非常に矛盾を抱えていることが分かります。
警察も当然にそれを知っているわけで、だからこそオンラインカジノ利用者は書類送検として決済代行会社だけを逮捕したのでしょうね。
※利用者は書類送検と報道されています。幇助罪を成立させるために利用者は略式起訴になるのでしょう。常習賭博を認めれば犯罪成立となり罰金刑などで完結してしまいます。
残念ながら決済代行会社は異議を申し立てることはしないでしょう。早く終わらせたいでしょうし、おそらくこちらも略式起訴で罰金で終わるでしょうから。
※略式裁判は、判例とは言えませんし、裁判例と言えるのかどうかも怪しいです。
※判例とは最高裁の判決
※裁判例とは最高裁以外の判決
警察としてはこういうふうに外周を埋めていきたいのだと思います。
日本国内でIR事業(カジノを核とした統合型リゾート事業)が進む中で、なぜオンラインカジノをこれほどまでに槍玉に挙げるのか、その趣旨は不明です。
オンラインカジノで使用されている決済代行会社は、SumoPay(すもうペイ)以外にもありますが、違法性を考えれば海外で運用されている会社を選ぶべきです。
日本で運営されている決済代行会社があるとしたらおそらく閉鎖になる可能性が高いです。
もしも利用者も決済代行会社も正式裁判に持ち込むのなら、オンラインカジノの利用自体の違法性が問われることになり、とても興味深いものとなります。
この場合、何を争うのかが重要になります。
2016年にスマートライブカジノで活躍した津田弁護士さんは「外国で合法的に運営されている当事者(運営会社)を日本では処罰できないのに、これに従属する地位にある当事者(遊んだ個人)を処罰することができるのか」を争点として、検察はこれを不起訴としました。
単に、海外のオンラインカジノの利用が刑法185条の賭博罪に該当するかを争点としたのでは、有罪になる可能性があります。
ちなみに、Payz(旧ecoPayz)、iWallet、Vega Wallet、Jeton、STICPAYなどはe-wallet(電子決済サービス)で海外で運営されていますので決済代行会社ではありません。
J-Pay、Astropayは決済代行会社で日本から撤退しています。
余談ですが、スモウペイシステムは、少なくとも「スポーツベット」「ビットカジノ」「ライブカジノハウス」などで使われ、全国で計4万2千人が登録していたといいます。
何らかの情報で登録ユーザーが決済代行会社に現金を振り込んだ詳細な証拠を得たのでしょうね。
これによってオンラインカジノが違法だということには繋がりません。
オンラインカジノの利用が違法だと言うためには正式な裁判例が必要なのです。
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